File.18 水平線上の陰謀の感想

「シリーズ初の二重サスペンス!」
この、大きなうたい文句に色々な想像を持ちながら、映画館に出かけた。
もう毎年恒例となった、年に1度のお楽しみ、コナンの映画鑑賞。
名探偵コナン・劇場版第9弾・水平線上の陰謀を堪能した。
2005年4月9日公開。鑑賞日は4月17日の日曜日だった。
今回も、出来るだけストーリーを追うネタバレ的な書き方でなく、思った事を中心に。
水平線上の陰謀前売り券
前作の銀翼の奇術師はキッド。前々作の迷宮の十字路では服部平次に遠山和葉。
その前のベイカー街の亡霊には新一の父・工藤優作。
その前の天国へのカウントダウンはジン【じん】やウォッカの黒づくめ組織。
しかし今回は、怪盗キッドも、服部平次も、黒づくめの組織も、
工藤夫婦も、まったく出てこないいつもの顔ぶれでの作品。
いわゆる客寄せ的登場人物いっさい無しの、ストーリー勝負的なお話。
それだけに、単に劇場版ならではの派手さや華やかさだけで終わらずに、
事件の内容の深さや、メッセージ性の強いテーマの重みを感じた。

冒頭は15年前の北大西洋上での貨物船の沈没事故から始まる。
直後に、半月前に貨物船の設計技師の謎の事故シーンが挟まれる。
この重たい雰囲気がとっても好みで、冒頭からわくわくさせられた。
再び舞台は海に戻って、豪華客船アフロディーテ号の船内。
怪しい男の行動が提示される。コロンボや古畑任三郎のような倒除モノ。
本格的なミステリの雰囲気に一気にスクリーンに惹きこまれていった。
そして御馴染みのメインテーマが流れ、タイトルが表示される。
毎回思う事だが、やっぱり劇場で聞く大迫力音響のメインテーマは最高。
水平線上の陰謀三番街シネマ前の看板
メインテーマは結構アレンジされていて、今までに無い印象を受けた。
前回の銀翼のメインテーマはノーマルに近かっが、今回は大胆に変えた様だ。
主題歌の夏を待つセイルのようには、いかにもZARDな曲。
感動のラストのあとに客船や海の風景を背に流れたこの曲にジ〜ンときた。
そう今回は爽快なラストではなく、かなりしんみりとさせられる終わり方。
もちろんクライマックスでは、いつものように豪快で派手なシーンはあった。
コナンのボートアクションやヘリコプターシーンは圧巻だった。
しかしながら前述通り派手さや華やかさだけで終わらずに、深いものが。
そんな感動のラストに相応しい優しいメロディと坂井の歌声が心地よかった。
テレビの主題歌である星のかがやきよよりも、よりZARDらしくて好きだ。

毎回、見所となる毛利蘭と工藤新一のシーンも、かくれんぼを絡ませいい感じだった。
これが単なる『かくれんぼ』という遊びに終わっていないところが憎い。
そして現在の場面でもしっかりかくれんぼで遊び、ラストへの伏線となる。
このかくれんぼでは、いろいろと哀が楽しませてくれた。
最後のモーターボートのシーンと並んで灰原哀の見せ場だと思う。
かくれんぼはつまらないと投げやりになって、ボールで遊んでるコナンに、
「立場解ってる?」と言う哀が、らしくて面白かった。
水平線上の陰謀パンフレット
他にも蘭にプレゼントを用意する探偵団と、それを大事に想う蘭の行動。
眠らなかった小五郎と、コナンとの連携プレイも感動ものだった。
普段はけなしあってるけど絆は…みたいな部分が見えていい感じだった。
予告で散々活躍するとうたってたが、いつもの様なすっとこどっこいぶり。
いつもと一緒やんと思って見ていたら、ところがどっこいみたいな、
最後の最後に面白いところをとっておく手法も楽しかった。
海と陸。現代の事件と過去の事件。貨物船八代丸と客船アフロディーテ号。
今のかくれんぼと昔のかくれんぼ。犯人と真犯人。そして小五郎とコナン。
すべてが二重にこしらえられた重厚なストーリーは秀逸な出来だと思う。

最後に劇場で購入したパンフレットに関して少々。
各声優のメッセージ欄で、高木渉の所がシール貼り状態だった。
下には何が書いてあるのか、単なる誤植か、汚くなるからはがしてないが。
また、隅っこに書いてたURL。パンフ購入記念の着信ボイス。
これが映画にまったく関係なく、普通の子供のふりのコナン台詞だった。
そして表紙のコナン君。いつもの青ジャケット着てボート運転してるけど、
実際劇中では白のタキシードに赤蝶ネクタイ姿だった筈。
このいでたちが結構かっこ良かったので、こっちを採用してほしかった。
また豪華客船のチケット(勿論架空の)もささやかだが嬉しいおまけ。
水平線上の陰謀前売り券特典クリアファイル
さて毎度毎度、幕が引かれる間際に次回の映画化決定みたいな告知。
今回もしっかり表示されていた。今から10ヶ月後が楽しみでしょうが無い。
次回は節目の第10弾。故に今迄に無いあっと驚くものを要求されるだろう。
そのお祭り的10作目(あくまで予想)とのメリハリをつける為、
今回はあえてオーソドックスな本格ミステリでせめたのではと感じる。
期待はいやがおうにも膨らんでしまうが、あんま期待が大きくなると、
あれなので・・・程々に期待して記念すべき劇場版第10弾を待ちたい。

(2005/06/19)

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